鬼といえば節分を思い起こすが、陀々堂の鬼は豆を投げられない善鬼。松明の火で浄火する歓迎すべき鬼たち。山からやってきて子孫を守り、祝福する春来る鬼だ。法螺貝が吹かれ、カタン、カタンと打ち叩く棒打の音が夜空に響くと火天の火伏行が始まる。火祭りの安全を願って松明を大きく振り上げる。炎は堂の天井まで届きそうだ。僧侶が唱える読経は耳に入ってこない。しばらくすると煙が立ちこめ堂内に充満する。くすべの行法と呼ばれるものだ。一番松明点火の声があがると、最初の松明が佐(スケ)役に担がれ先頭に立つ父鬼とともに一の戸口に登場する。昼の鬼走りと同じ所作をするのだが、燃えさかる松明の火は天井を焦がさんばかりの勢い。参拝者に向かって三鬼が並ぶと神聖な力をもらうようで思わず手を合わせる。(H20.
1.14撮影) |